Impact of Early Parenteral Nutrition on Muscle and Adipose Tissue Compartments During Critical Illness

題目:Impact of Early Parenteral Nutrition on Muscle and Adipose Tissue Compartments

During Critical Illness

PMID: 23860247

なぜ本論文に興味を持ったか

ICU入室早期の栄養療法には様々な報告があり、未だ答えはでていない。ASPENやESPENは、内因性のエネルギー産生を考慮し、over feedingを避けるべきと提言している。近年ではPost Intensive Care Syndrome(PICS)の研究が盛んである。over feedingの弊害とされる骨格筋へのネガティブな結果を論じた本論文は、個人的にはPICSと栄養療法を関連付ける重要な論文だと考えられるため、改めて理解を深めたいと思う。

目的:LatePNと比較して、大腿骨および腹部レベルでの筋肉および脂肪量と筋肉内脂質/水分含有量の経時変化に対するearlyPNの影響の調査。

対象と方法:EPaNIC trial参加患者から抽出した15人の重症患者(脳外科限定)を対象に、ICU入室直後と1週間後にCTスキャンを繰り返し実施し、IMAT(intermuscular adipose tissue 筋肉間脂肪組織は、筋肉の束の間にある脂肪細胞の貯蔵庫。多くの場合、IMATの増加はネガティブな効果を助長する)などを測定。コントロールとして、6人の健康な被験者に対して同様に1週間の間隔で繰り返しCTスキャンを実施した。

Early PNの定義:ICU入室day7以内にPN開始

Late PNの定義:ICU入室day8以降にPN開始

結果:患者背景に有意差を認める項目なし。しかし、平均インスリン投与量はLate PN群と比較し、early PN群で倍量投与されていた。Day9までの栄養投与量の比較では、early PN群で投与量が多い傾向にあった。simple regression analysisではearly PN群でIMATが増加傾向にあった。

限界:第一に、患者が少ない。第二に対象患者は脳CTを繰り返す必要のある脳損傷後神経手術患者に限定されていた。他の疾患と比較して運動制限をもたらすため、より顕著な筋肉の喪失を引き起こした。一方で一律に活動レベルの制限がかかるため、背景因子は揃えやすかった。第三に、安静時エネルギー消費量(REE)は測定されなかった。

結論:重症患者では、栄養管理に関係なく初期段階での重要な筋肉消耗を示した。 Early PNは、筋肉浪費を防止しなかったが、代わりに筋肉の脂質/水分含有量とIMAT量を増加させた。 対照的にlate PNおよび対照群では、脂質/水分含有量またはIMAT量に有意な変化は認められなかった。

考察と今後に活かすこと:EPaNIC trial からの解析で、15人の脳外科患者を抽出している。Limitationでも述べられているが、患者数は少ないものの、繰り返しCT測定を実施できる患者を対象とすることには妥当性があり、実行可能性がある。栄養投与量に関しては、EPaNIC trialのプロトコルに準拠しているため、両群ともに過剰な栄養投与とならないようコントロールされている。PICSとの関連性では、リハビリの量や頻度およびQOLの客観的な測定指標があればより強い関連性を導くことができるのだろうか。高血糖によるautophagy障害は、有意差は認められなかったものの、平均インスリン投与量が倍程度異なっていたことから、やはり関連性はあるのかもしれない。今後の研究に活かしていきたい。

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